私が就労移行支援事業所で働いていたときの話です。
前職でうつ病を患い、社会復帰するために就労移行支援事業所を利用していた方がいました。
前職では役職がついていて、とても優秀な方でした。
激務で体調を崩し休職、そして退職されました。
就労移行支援事業所に通所して約1年。その方は無事就職し、卒業されていきました。
その方は、もともと障がい者雇用ではなく、一般就労を希望しており、望み通り一般就労を勝ち取っていきました。
ちなみに、履歴書には、就労移行支援事業所に通っていたことを記載していました。
つまり、自分の障がいを開示した上で一般就労したわけです。
障がいをお持ちの方の中には、障がい者雇用ではなく、一般就労を希望されている方もいらっしゃると思います。
なぜその方が、一般就労できたのか??
それは、この2つを持っていたからです。特に2つ目が重要です。
- スキル
- 一般就労でも働ける自信
その方は専門的なスキルを持っていましたし、就職して長く働いてきた経験をもっていたことも大きな成功理由ではありますが、それよりも、「自分は一般就労でも働けるんだ」という強い自信を持っていました。
なぜその方がそう思えたのかと言うと、就労移行支援事業所で過ごした1年間があったからだと話しました。
もともと体調を崩した時は引きこもりで、ほとんど家を出ない状態。良くなったり悪くなったりを繰り返していました。
少し外に出られるようになってから、通院先の先生に就労移行支援を勧められたことをきっかけに通所を開始。
8ヶ月ほどかけて徐々に通所日数を増やし、じっくりじっくり負荷をかけていきました。
その方にとってはつまらないトレーニングもあったかと思いますが、文句一つ言わずむしろありがたいと積極的に参加していた印象です。
その方が、いよいよ就活を始める時に、前職を辞めてから現在までのブランク期間は就労移行支援事業所を利用していたことを記載する、と聞きました。
一般的に、障がい者雇用から一般就労に転職するのは難易度が高いです。なぜなら障がいを持っていることがわかるので、企業から避けられる傾向があるためです。
スキルがあり、ちゃんと成果を出せるなら障がいのある、なしは関係ないと思っていますが、まだまだそう思っている企業、人事担当者は少ないです。
その方の場合、障がい者雇用で働いていたわけではありませんが、就労移行支援事業所は福祉事業所ですから、なんらかの障がいがあることは明らかです。
しかし、その方は、就労移行支援事業所を利用していたことを逆に強みとして捉えていました。
うつ病は良くなったり悪くなったりを繰り返す病です。一度ゆっくり休むことが最も大切な病気であるにも関わらず、少し良くなって復職してしまう方も多いです。
結局また悪くして休職、そして退職を繰り返してしまいます。
だから、就労移行支援事業所でゆっくりじっくり体調を戻していったその方は、「もう大丈夫」と言い切れる自信と根拠を持つことができたのです。
遠回りのように見えますが、就労移行支援事業所の利用は、長く安定して働くためにはとても良いところだと思っています。