
皆さん、こんにちは。
元就労移行支援スタッフで、現在は企業で人事として働いている笠見です。
今日は、数年前の私自身の“休職からの復帰”を思い出しながら、「今、休んでいてそろそろ働かないと…」と感じているあなたに伝えたいことを書きます。
心身が追いつかなくなって休職したとき、まずは「このままでいいのだろうか」「復職したいけど自信がない」「何から始めればいいのか分からない」という不安でいっぱいでした。でも、少しずつ“準備”を始めたことで、自信を取り戻し、安心して働ける体力と心のゆとりを持てるようになりました。
もし今あなたが「そろそろ働きたい」「でも不安」「今のままじゃまずい」と感じているなら、ぜひ最後まで読んでください。

まずは復職するまでのステップを確認しましょう!
ステップ1:まずは“自分の状態”を知ること
リワークプログラムとは?
・ 休んでいるあいだ、自分でも気づかないうちに体力やメンタルのバランスが崩れていることがあります。
・ 睡眠習慣、気持ちの浮き沈み、ストレスを感じる場面、集中力の低下など、普段の“自分の様子”を記録してみる。
・ それを医師や信頼できる人と共有することで「何が課題か」が見えてきます。
ステップ2:無理なく“はたらく準備”をする
休職中だからこそできることがあります。私自身がスタッフ時代に見てきた成功して復職した人たちの共通点を整理すると:
- 通勤時間や時間帯を想定した生活リズムを徐々に戻す(例:朝起きる時間を整える、軽い運動を取り入れる)
- 社会との接点を保つ(ボランティア、習い事、交流会など)
- コミュニケーション力やストレス対処法を学ぶワークなどを取り入れる
- 自分にとって「働く上で大事な価値観」を再確認する(何を優先したいか、どんな職場なら自分が安心できるか、など)
これらを「趣味」や「学び」「セルフケア」の延長として取り入れると、無理なく心身が復帰モードになっていきます。
ステップ3:リワーク支援プログラムを検討する
「リワークプログラム」とは、病気やストレスなどで休職している人が、再び安心して働けるようになるための“リハビリ型の支援”です。
会社を長く休むと、体力や集中力、生活リズムが崩れがちですし、「また同じように働けるだろうか」という不安も強くなります。リワークプログラムは、そうした不安や課題を解消するために、次のような取り組みを行います。
- 生活リズムの安定:決まった時間に通所して、働く感覚を取り戻す
- ストレス対処のトレーニング:気持ちの落ち込みや不安をコントロールする方法を学ぶ
- 仕事のシミュレーション:職場に近い環境で作業やグループワークを経験する
- 再発予防:どんな時に調子を崩しやすいかを知り、対応策を考えておく
- 医師や職場との連携:復職に向けて、医療・企業・支援機関が協力してくれる
つまり、リワークはただ「復職のきっかけ」ではなく、**“休職からのリハビリ”と“長く働き続けるための準備”**をまとめてサポートしてくれる仕組みです。
リワークを受けられる主な施設と利用料金・対象者
施設 | 利用料金 | 主な対象者 |
---|---|---|
医療機関(医療リワーク) | 無料~月額2万円 | うつ病・適応障害・不安障害などで休職中の方。医師の指示でリハビリ的に通うケースが多い。 |
障害者職業センター(職リハリワーク) | 無料 | 障害者手帳を持っている方、または医師の診断書で利用可能な方。主に就労経験がある人。 |
企業内(職場リワーク) | 無料 | 現在の勤務先に籍を残したまま休職している方。企業の産業医や人事と連携して実施。 |
就労移行支援事業所 | 無料~月額37,200円(※世帯収入により変動。多くの人は無料または低額で利用) | 精神・発達・身体などの障害や難病があり、復職や再就職を目指す方。休職中の方や再就職希望者どちらも対象。 |
それでは、それぞれのリワークと就労移行支援事業所について、詳しく説明していきます。
医療機関が行うリワークは、医師の管理のもとで復職を目指すプログラムです。
- 生活リズム回復:毎日の通所で体力・生活習慣を整える
- 心理プログラム:認知行動療法やストレス対処法を学ぶ
- 職場シミュレーション:作業やグループワークで集中力・対人スキルを取り戻す
- 再発予防:医師・心理士と面談し、調子の崩れに早めに対応
特徴は、医学的に安心して復職準備ができる点。ただし「休職者向け」が中心で、再就職希望なら就労移行型リワークが合う場合もあります。
国が運営する機関で、無料で受けられるリワーク支援です。
- 生活リズム調整:決まった時間に通う習慣をつける
- 職業準備訓練:作業・課題を通じて集中力や持続力を養う
- 職場適応訓練:模擬業務や実習で働く力を回復
- 復職・再就職支援:職場や主治医と連携し、スムーズに戻れるように調整
特徴は、費用がかからず安心して利用できる点。ただし利用対象は「障害者手帳や診断書がある方」が中心です。
勤務先が用意する、職場復帰のための社内リワーク支援です。
- リハビリ出勤:短時間勤務や段階的な出勤で体を慣らす
- 業務調整:軽めの仕事からスタートし、徐々に通常業務へ
- 産業医・人事面談:復帰状況を確認しながら無理なく進める
- 職場理解促進:上司や同僚にも特性や配慮を共有してもらう
特徴は、実際の職場環境に合わせて復帰できる点。ただし、制度や体制は会社ごとに差が大きいため、十分なサポートが受けられない場合もあります。
福祉サービスとして行われる、就職をサポートする福祉施設です。
- 生活リズムづくり:決まった時間に通所して働く習慣を整える
- スキルアップ:パソコン・ビジネスマナー・コミュニケーション訓練など実践的な学び
- 模擬就労:実際の職場に近い環境で作業やチームワークを経験
- 就職支援:求人紹介や面接練習、職場定着のフォローも充実
就労移行支援は、障害や難病のある求職中の人が一般企業に就職できるようサポートするサービス。就業に必要な知識やスキルの習得、就職活動支援、職場実習といった一般就労に向けた準備から就職後の職場定着まで幅広いサポートプログラムを提供しています。
目的の違い
リワークと就労移行支援事業所では目的が異なり、リワークは「復職」、就労移行は「就職」を目指します。
リワークは、企業に在籍しているものの、精神疾患などで休職中の人が復職できるようサポートするサービスです。そのため、リワークでは、認知行動療法やストレスマネジメントなど心身の回復を目指す、職場復帰に特化したプログラムをおこないます。
会社側に部署異動や業務内容の変更を必要に応じて相談・依頼するなど、休職の原因を取り除くこともリワークの役目です。
就労移行支援は、障害や難病のある求職中の人が一般企業に就職できるようサポートするサービスです。就業に必要な知識やスキルの習得、就職活動支援、職場実習といった一般就労に向けた準備から就職後の職場定着まで幅広いサポートプログラムを提供しています。

さて、通院を経て、体調が落ち着いてきたら、いよいよリワークプログラムへの参加です。
まずは、休職中は生活が乱れてしまう方も多いです。なので、まずは規則正しい生活を心がけ、復職するための体力づくりが必要。
日中活動の場として、図書館をおすすめされるのですが、毎日図書館に行き、本を読んで帰ることが大変だと感じる方も多いです。一人で地道に病院のリワークプログラムに参加するのがしんどい・・・と思う方も多いのでは。
そんな時に使って欲しいのが、就労移行支援事業所です。就労移行支援事業所は、週5日、だいたい10時-15時くらいまで使えます。行けない日があっても大丈夫。無理なく少しずつ利用日を増やすことができます。さらに、規則正しい生活と体力づくりをしながら、さまざまなプログラムを受けることができます。
なにより就労移行支援事業所の良いところは、スタッフが毎日体調を聞き取ってくれたり、必要なら話を聞いてくれるところ。やっぱり誰かが見ててくれるっていうのは本当に大事です。
就労移行支援事業所での一日の流れ
時間 | 内容 |
---|---|
10:00~10:10 | 朝礼 |
10:10~12:00 | 各種講座 |
12:00~13:00 | 昼休憩 |
13:00~13:30 | 自習(PC訓練や就活準備など) |
13:30~15:45 | 疑似就労 |
15:45~16:00 | 1日の振り返り |
でもいきなり週5日通うのは・・・という方もいると思います。ですから、週2日程度~初めて、最終的に週5日通所まで増やしていく方がほとんどです。
通所スタイル
パターンA
- 週2~3日からスタート
- 最初はAMのみなどの通所からはじめ徐々に10:00-16:00の終日通所へ
- 体調が整い次第週5日
- 10:00~16:00の終日通所へ
パターンB
- 週4日からスタート
- 通所時間 10:00-16:00
- 体調が整い次第週5日、10:00-16:00の終日通所へ
- 復職1か月前より帰宅後は18:00まで自主学習

就労移行は、復職後も職場定着支援というサービスを受けられるので、安定して長く勤務するにはもってこいの場所です!
- 就労移行を利用して復職に成功したAさんの事例
ステップ5:自分に合うリワークを探そう
- 医療リワーク、障害者職業センター(職リハリワーク)、企業リワーク、就労移行の4つの中から自分に合うリワークを見つける。わからないときは、問い合わせをして相談してみましょう。
あなたが再び“はたらく自信”を取り戻すために
休職中の今は、自分を責める時間ではなく、“未来の自分を整える準備期間”です。誰しもがスロースタートでいい。私も含め、たくさんの人がその道をたどってきました。
もしあなたが「そろそろ復職したい」「以前とは違うけど、働ける自分でいたい」と思っているなら、リワークを実施している機関や施設に問い合わせをしてみましょう。
窓口の人は、きっと優しく話を聞いてくれるはずですよ。